理学療法学科昼間部2019年3月卒業
関 勝実 先生
株式会社ERECTUS(エレクトス)代表取締役
内野 岳憲 先生
「超リハビリ特化型デイサービスいくおる」にて機能訓練指導員として活躍中
社医学時代はクラスメイトとして3年間をともに過ごした関先生と内野先生。卒業後、一旦はそれぞれの分野で理学療法士として活躍した後、5年の時を経て再度合流。関先生が立ち上げた株式会社ERECTUSにてともに切磋琢磨しています。
そんなお二人そろって、社医学入学前から現在に至るまで様々なお話を伺いました。社医学での思い出や理学療法士という職業に対する想いなど、お二人のインタビューをご覧ください。
〜社医学を卒業後、5年の時を経て再度合流〜
Q:本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、お二人の趣味を教えていただけますか?
関:ずっとサッカーをやっていたのですが、最近はあんまり運動できていないですね。サッカーも忙しすぎてできないですし、本当に仕事ばっかりしています。子どもと遊んでいるぐらいですね。あ、時々家にあるサンドバック叩いています(笑)
Q:家にサンドバッグがあるのですか!?それはすごいですね。内野先生はいかがですか?
内野:筋トレしたり、走ったり、何か体は常に動かしていますね。昔から柔道をやっているので、それはいまでも軽く続けています。
Q:お二人ともスポーツマンですね。社医学ではクラスメイトだったのですね。
関:はい、社医学に入学した時から3年間ずっと一緒でした。
内野:年齢はちょうど10歳違いますけどね。
Q:クラスには年上の方も多かったのですか?
関:高校卒業してすぐの学生が多かったですけど、3割以上は社会人経験のある方などで、自分より年上もいっぱいいました。
内野:ですね。でも私は入学してみたら「こんなに大人が多いんだ」ってびっくりしました。
Q:幅広い世代と同じクラスで勉強するのも良い刺激になりそうです。関先生は起業されていますが、社医学卒業後はどのような経緯で起業されたのですか?
関:理学療法士の資格を取ると決めた時から3年で起業するという事は自分の中で決めていました。社医学卒業後、最初は脳卒中専門病院、その後整形外科クリニックと経験してから、自分でデイサービス施設を立ち上げました。今年(2025年5月時点)で設立から4年になります。
会社は神奈川県海老名市にあって今年の4月には訪問看護ステーションも立ち上げました。理学療法士や看護師など7名の正社員と5名の非常勤職員とともにさらに地域と密接に関わっていきたいと考えています。実はデイサービスはもう1店舗増やす計画もしていて、それに加え今後は小児の分野でも地域に携わっていきたいと考えています。
Q:内野先生も今は一緒に働かれているという事ですが、どういった経緯でご一緒されることになったのですか?
関:私がオファーしました。
内野:社医学卒業後は、リハビリテーション病院で2年、整形外科クリニックで2年、それぞれ経験した後にこちらに入りました。病院やクリニックでいろんな経験をさせてもらう事が出来たのですが、ちょうど新しい事にチャレンジしたいなというタイミングでした。そんな時に関さんから声をかけてもらって。関さんが考えている理学療法士という仕事に対する想いとか考え方に賛同して、一緒に働く事になりました。
Q:社医学卒業時は病院に就職される方が多いですよね。
関:学校を卒業する時に、だいたいの学生が心配するのは、やっぱりスキルアップの部分ですよね。だからこそまず病院に行った方が良いって考える方も多いです。ただ、学校を卒業して理学療法士としてスキルアップする為にはいろんな患者さんがみられる環境である事も重要ですし、教えてくれる先輩さえいれば病院に限らずどこでも技術は向上できます。
内野:そうですね。学校卒業してすぐだとなかなか地域やデイサービスに興味が向かないですしね。でも、もしかしたら学校を卒業してすぐにデイサービスに行くって言うのも面白いと思います。病院だけじゃなくて色々な場所で働く事ができて、病院ではない地域にも理学療法士の活躍の場はあるんだよっていう事は知っていてほしいですね。
関:理学療法士としていろいろと経験を積んでいくと、訪問に興味を持つ人は結構多いですしね。卒業してすぐに地域に出るのも良いと思います。
〜理学療法士を目指すことを決意した、それぞれの想い〜
Q:ありがとうございます。さて、話はさかのぼりますが、そもそも理学療法士を目指したきっかけなどを教えていただけますか?
関:ずっとサッカーやっていたので、身体のことに興味はありましたが、高校生まで勉強は全くしていませんでした。それで、次の進路を決めるとなった時に、当時の僕の頭の中には医者かトレーナー、鍼灸師という選択肢しかなかったんです。
結局、どの道も選ばず大学の経済学部に進学したのですが、身内の事など色んな事がありまして、違う事をやりたいなと思うようになりました。そこで改めて調べて「理学療法士」という職業にたどり着きました。本当だったら高校生の時に知っていれば良かったんですが。
Q:関先生のnote(※)も拝見しましたが、本当に様々な事があったようですね。
関:ですね。あとは、自分でもずっと腰痛持ちで、どこの鍼灸院に言っても治らなかったんです。で、それはなんでだろう?と考えている時に、理学療法士は「しっかりと理論立てて治療できる」というところが自分の中でハマったんです。そこは、鍼灸師とも柔道整復師とも違う考え方なんですよね。
(※)参照:かっちゃんねる(note) https://note.com/knowreha
Q:なるほど。医療分野の知識を持ち治療することができるのは理学療法士の強みだという事ですね。内野先生はいかがですか?
内野:工学科の高校に通っていて、就職か進学か迷っていました。高校の先生に相談したところ進学をすすめられて、その時興味があった体の事に関する仕事として、柔道整復師か理学療法士かって考えました。
もともと柔道をやっていたので、そのまま柔道整復師は当たり前すぎるかな?という事と、理学療法士の方が漢字がかっこいいかなと思って、理学療法士を目指す事にしました(笑)
Q:漢字がかっこいいは面白いですね!では、社医学に進学した理由を教えてください。
関:理学療法士になろうと思ったときに、最初はオーストラリアに行きました。いろいろあって結局そこでは進学できなかったのですが、サッカーのつながりで日本人の理学療法士と知り合って、その人と話をしているときに「社医学」の名前が挙がりました。それで調べてみると歴史が長くて知名度も高かったので、そこが一番良かったところです。
Q:オーストラリアで社医学の名前が出るとはすごいですね!
内野:自分も、いくつかの学校を調べていく中で、社医学が一番歴史もあって良いかなと思いました。
Q:お二人とも社医学の歴史や実績が良いと感じたのですね。社医学入学後、はじめての医療系の勉強は大変ではなかったですか?
内野:すごく大変でした。でも年上のクラスメイトが何人かいたので助けてもらっていました。
関:大変でしたけど私はそれなりにいい成績を取れました。というのも、みんなより少し年上だったので、遊びもせずに一人でラウンジに残って夜まで勉強していましたので。
〜在学中の楽しい思い出と、辞めようと思ったタイミング〜
Q:在学中の勉強で、特に印象に残っている授業などはありますか?
関:印象に残っている授業というとちょっと違うかもしれませんが、学生のうちは社会制度とか社会福祉といった内容の授業は正直あまり関心が持てなかったんです。ところが、今になってめちゃくちゃ大事だったなって思います。起業する・しないに関わらず、理学療法士として働く以上は、その制度について知っておかないとならないことだと思います。
Q:なるほど。それは卒業して理学療法士として働いているからこそ、感じる部分もありそうですね。
内野:実は、私は入学して早々に辞めようかと思ったことが何回かあります(笑)
最初は生理学の教科書を見た時です。すごく分厚いんですよ。まずはそれを見て辞めようかと思いました。で、入学してみたら1コマの授業時間が90分もあって、高校から比べると長すぎて、それでまた辞めようかと(笑)
Q:そうだったのですね(笑)でもそれを乗り越えられた秘訣は何ですか?
内野:先輩や年上のクラスメイトに教えてもらって何とかなりました。実は当時、「神経」って目に見えないものだと思っていたんですよ。運動神経とか反射神経みたいな、何かオーラ的な(笑)
でも、神経はちゃんと体にあるんだってわかって。なんかそういう全く知らない領域だったので、だんだんわかってくると逆に面白いなって思えるようになっていきました。
Q:なるほど。興味と年上のクラスメイトからのサポートがポイントですね。クラスの仲は良かったんですか?
関:そうですね。良かったです。いろんな人がいましたけど(笑)
Q:クラスメイトとの思い出で、特に印象に残っていることってありますか?
関:すごく怒られたことが1回あって(笑)
2年生の期末試験が終わった日に、ラウンジでみんなとちょっとした打ち上げをやってたんです。でも、国家試験間近で勉強をしている先輩方がいて。その時は担任の中山先生に怒られましたね。周りのことも考えなさいって(笑)
内野:そんなこともありましたね(笑)
Q:いい思い出ですね(笑)在学中を振り返った時に、社医学のいいところってどんなところだと思いますか?
関:やっぱり先生たちが熱心な事ですね。昼間部の先生も夜までずっと残ってくれる事も多かったです。だから質問しやすかったのも良かったですし、すごく大事にされているんだなって言うのは感じていました。先生たちのサポートはすごい手厚いと思います。
Q:いつでも質問できるのは今も変わらないですし、社医学の伝統でしょうね。
関:今は、理学療法士の養成校も増えていますよね。でも、少なくとも社医学で学べることはすごく多いと思いますし、先生方が面倒見てくれるというか、しっかりサポートしてくれるというのは、社医学の良い所だと思います。
内野:社医学の授業は現場主義というか、実習生をみていても目的意識がちゃんとある人が多いですね。
〜患者さんの人生を最後までサポートするのが私たち理学療法士の仕事〜
Q:ありがとうございます。では、理学療法士として働いていて、「社医学の卒業生で良かった」と思う事はありますか?
関:卒業生との繋がり、ネットワークが広いことが大きいです。トレーナー活動をしている時にも社医学の卒業生と出会って、それをきっかけにさらに輪が広がっていきました。
内野:社医学の卒業生の皆さん、すでにベテランの方も多いですが、だいたい皆さん臨床で活躍されている印象があります。
関:確かに。ちゃんと臨床にいますね。
内野:だからこそ、現場での実績もあるので、「社医学の卒業生なら大丈夫」と信頼をしてもらう事ができます。実際に上の世代の方からもそういう風に言われていました。
Q:現場で信頼していただけるというのは、大きな強みですね。それでは、最後に理学療法士を目指している方にメッセージをお願いします。
関:理学療法士という職業はすごくいい仕事だと思います。理学療法士になる人には、関わった患者さんの人生、その人が歩んできた道って言うのをちゃんと見て、その後の人生のことまで考えてあげられるといいんじゃないかと思います。
Q:そのあたりは、起業にもつながる考え方ですね。
関:そうですね。理学療法士はQOL(Quality of Life:生活の質)を高める存在であるべきですし、そのためには機能訓練だけではなくて、リハビリテーションとしてあらゆる手段を試しても良いと思っています。例えば、理学療法士がご利用者と将棋して遊んだって良いし、作業療法のようなことをしたって良い。その患者さんの人生がより良くなるために必要なことを考え提供してあげればよいと思います。
まあ、そうは言っても、理学療法士の強みはやっぱり運動療法かなっていうところはありますが。いずれにしても患者さんの人生を最後までサポートするのが私たち理学療法士の仕事だと思っていて、それができる理学療法士がもっと増えてほしいです。
内野:自分はずっと悩んでいるんです。「理学療法士って何だろう」っていう事を。だからこそ面白いという事もありますが、その想いは今でも同じです。理学療法士とはいっても幅広い分野にも分かれているし、自分がどこにあっているのかわからなくなる事もありますが、そうやって考えているともう一回授業を受けなおしたくなってきます。だから本当に授業は大事にしてほしいです。
関:ほんと、大事大事。一度きりの授業を大切にしましょう。
本日はありがとうございました。
インタビュー日:2025年5月
株式会社ERECTUS(エレクトス)ホームページ