OSCE(オスキー)って何?理学療法士・作業療法士の学校で行う実技試験を徹底解説

理学療法士・作業療法士を目指して養成校を選ぶ中で、「OSCE(オスキー)」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
OSCEは、座学で得た知識を、実際の臨床場面でどう活かせるかを評価する実技試験です。国家試験とは異なり、患者さんとの接し方や技術の正確さ、説明のわかりやすさなど、現場力が問われます。
このコラムでは、OSCEの目的や試験内容、準備方法までをわかりやすく解説します。「OSCEって具体的に何をするの?」「どうやって準備すればいいの?」と思っている人、これからOSCEに臨む人はもちろん、養成校選びをしている方もぜひ参考にしてください。
OSCE(オスキー)とは?
OSCE(オスキー)は、医療系の養成校で行われる実技試験の一つです。正式名称は「Objective Structured Clinical Examination(客観的臨床能力試験)」といいます。

OSCEの目的
この試験の目的は、学生が実際の医療現場で必要とされる技術や態度を身につけているかどうかを確認することです。筆記試験のように知識だけを問うのではなく、患者さんとの接し方や、身体の動かし方、説明の仕方など、実践的な能力を評価します。
OSCEの特徴
OSCEは、いくつかの「課題」に分かれていて、学生はそれぞれの課題を決められた時間内に完了する必要があります。
たとえば、以下のような課題があります。
→ バイタルチェック(※注釈:血圧や脈拍など、生命に関わる基本的な体の状態を測定すること)
→ 移乗介助(※注釈:患者さんをベッドから車いすへ、安全に移動させる支援)
→ 関節の可動域測定(※注釈:関節がどれくらい動くかを測る検査)
→ 患者さんとのコミュニケーション(※注釈:症状の聞き取りや説明など、信頼関係を築くための会話)
これらの課題は、実際の患者さんではなく「模擬患者(※注釈:患者役を演じる人のこと。社医学では卒業生に協力を仰いでいます。)」が相手になることが多く、学生はその模擬患者に対して本番さながらに対応します。
評価のポイント
OSCEでは、以下のような観点で評価されます。
→ 技術の正確さ:手順通りに安全に行えているか
→ 態度・マナー:患者さんへの配慮や礼儀があるか
→ 説明力・コミュニケーション:わかりやすく伝えられているか
→ 時間管理:限られた時間内に的確に対応できているか
評価は、担当の教員がチェックリストを使って行うため、客観的で公平な判断を行う事ができるようになっています。
OSCEの準備と学び方
OSCEは、知識だけでなく実際の行動や対応力が問われる試験です。そのため、しっかりとした準備が必要です。ここでは、養成校でどのようにOSCEに向けて学んでいくのかを紹介します。

授業や実習での積み重ねが大切
OSCEの内容は、普段の授業や実習で学ぶことがベースになっています。たとえば、バイタルサインの測定や移乗介助などは、基礎技術として何度も練習する機会があります。授業で習ったことを、実際に体を動かして繰り返し練習することで、自然と身についていきます。
ロールプレイやグループ練習
OSCEの準備では、ロールプレイ(※注釈:役割を演じて練習する方法)がよく使われます。学生同士で「患者役」「施術者役」に分かれて、実際の場面を想定した練習を行います。これにより、技術だけでなく、コミュニケーション力や対応力も養われます。
また、グループで練習することで、他の人のやり方を見て学んだり、フィードバックをもらったりすることができます。自分では気づかなかった改善点に気づける貴重な機会です。
教員や先輩からのフィードバック
OSCEの練習では、教員や臨床経験のある先輩からのフィードバックがとても重要です。 「声が小さい」「説明がわかりにくい」「安全確認が不十分」など、細かい点まで指摘してもらえることで、より実践的な力が身につきます。
緊張感のある環境での練習 OSCEは、限られた時間の中で課題をこなすため、本番さながらの緊張感があります。練習の段階から、タイマーを使って時間を意識したり、模擬患者とのやり取りを本気で行うことで、試験当日のプレッシャーにも対応できるようになります。
OSCEを通して得られること
OSCEは単なる試験ではなく、臨床現場で活躍するための力を育てるプロセスでもあります。ここでは、OSCEを経験することで得られる主な学びや成長について紹介します。

実践力の向上
OSCEでは、教科書で学んだ知識を「実際に使う」場面が求められます。 たとえば、患者さんに声をかけながら安全に移乗を行う、測定結果をわかりやすく説明するなど、現場で必要なスキルを実践的に身につけることができます。 コミュニケーション力の強化 模擬患者とのやり取りを通して、相手の立場に立った対応を学ぶことができます。
「どう話せば安心してもらえるか」「どんな言葉が信頼につながるか」など、単なる技術だけでなく、人と関わる力が磨かれます。
自分の課題が明確になる
OSCEでは、教員からのフィードバックや自己評価を通じて、自分の弱点や改善点がはっきりします。 「説明が早すぎる」「手順が抜けている」「緊張で声が小さくなる」など、今後の学びに活かせるヒントが得られる貴重な機会です。
国家試験や臨床実習への自信につながる
OSCEでの経験は、国家試験の実技問題や臨床実習での対応にも直結します。 「本番のような緊張感の中で練習した」という経験が、自信と安心感につながり、実習先でも落ち着いて行動できるようになります。
まとめ
OSCE(オスキー)は、理学療法士・作業療法士を目指す学生にとって、知識と技術を統合して実践力を試す重要な試験です。 筆記試験では測れない「人と関わる力」や「現場での対応力」が問われるため、将来の臨床現場に直結する学びが得られます。
最初は緊張するかもしれませんが、授業や実習、仲間との練習を通して、着実に力をつけていくことができます。OSCEを経験することで、自分の成長を実感できるだけでなく、国家試験や臨床実習への自信にもつながります。
今回は、理学療法士・作業療法士の養成校で行われている実技試験「OSCE(オスキー)」について詳しく紹介しました。本校では即戦力となれるような理学療法士・作業療法士を育成する為、OSCE(オスキー)の他にも様々な取り組みを行っています。本校での取り組みについては、各学科の特長ページよりご確認下さい。